ハンブルクの中央駅からSバーンという列車で20分ほど。更にそこからバスで15分ほど。変な言い方かもしれませんが、ドイツ国内にある収容所の中ではかなりアクセスはよいほう。
ノイエンガメ強制収容所は、他の収容所とは少し異なり企業の受注を受けた強制労働の場として機能していました。収容者の多くはユダヤ人でしたが、ガス室はありません。(日本の某有名旅行ガイドには、ガス室があるとの記載がありますがこれは間違い)とはいえ劣悪な環境には違いなく、収容者の約半数、約5万5000人が過労や拷問、処刑で亡くなったとされています。
ドイツ国内でナチスの過去を見直す運動が起きていく中で、戦後刑務所として(!)使用されていたここノイエンガメの施設も、保存を求める市民運動が起きて今の形となったそうです。上からの「過去の克服」ではなく、市民からの運動という点で、私の研究にとってもなかなか興味深い地。
のどかな開けた場所に突如現れる入り口 |
餓死した女性のモニュメント 遠目に見ても迫力があります |
強制労働が行われたレンガ工場 |
広い工場内部。なんともいえない重い空気 |
この日はドイツの中高生のグループが見学に来ていましたが、説明を聞かず携帯をいじる生徒や、施設内でふざける子もたくさん。日本の状況を思えば変わらないし、興味がない若者には「ただの暗くてつまらない話」で仕方がないのかもしれませんが、ドイツの戦争・平和教育を過信していた私にはなかなかショックな光景。あえて懲罰房跡地や火葬場跡地の近くで昼食をとったり、休んでいる姿にはちょっと唖然としました。
普段私の研究に理解を示して、手伝ってくれるドイツ人の友人も「悪いけど収容所にだけは二度と行きたくない。あそこの雰囲気を思い出したくない」と、同行することを頑なに拒否。気持ちも分かりますし、きっと私とは違う目線を持っているのかなと思います。
こういった現場もドイツに来たからこそ出会えるもの。いい経験になりました。
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